3、解約時に損をしないマニュアル(5)
解約の手続きをする時に、敷金の清算が伴います。
そこでトラブルになることを避けるためにも、借り主側で行なっておいた方が良い事、知っておいた方がよい事をご紹介します。
原状回復のトラブルを事前に回避して、敷金を最大限に返還してもらうことで快適な新しい生活をスタートできることでしょう。
契約が済んだばかりの人も今後のためにもぜひご参考にしてください。
(5)レンタカーを例にすると、原状回復がわかりやすい(ブログ掲載記事)
■レンタカーも“原状回復”の義務があります
“原状回復”について考える場合、レンタカーを例にして考えるとわかりやすいと思います。
レンタカーは住居とは、その目的も借りる期間も異なりますが、レンタカーは返却する際に、引渡し時の状態で返却することが義務付けられています。
ガソリンは満タンにして返却し、万一ぶつけたりした場合には、保険が適用される場合が多いですが、基本的には借り主の責任で修理を行なわなければいけません。
しかし、通常の使用による劣化、磨耗については、もちろん借り主は責任を持つ必要はありません。
通常の使用による劣化、磨耗の分については、レンタカー料金に含まれているからです。
自動車は使用すればするほど劣化していくことは誰でも知っていることです。
■新車のレンタカーを借りても、新車に戻して返却する義務はありません
極端な例えとして、新車のレンタカーを1ヶ月借りて、その間に1万キロ走ったとします。
1ヵ月後の返却時には、外側の汚れ、エンジン周りの劣化、タイヤの磨耗等、新車の状態よりも価値は下がってしまいます。
しかし、もちろん借り主が新車の状態に戻して返却する義務はありませんし、レンタカー会社もそんな無茶な要求をすることはありません。
レンタカーは、その劣化、磨耗分も含めての料金を支払っているので、レンタカー会社の責任で洗車をし、点検をして不具合が発生していれば修理を行います。
もし、借りた側で車をぶつけて壊したり、傷を付けたり、不注意で室内を汚したりすれば、修理代やクリーニング代を請求されます。
レンタカーの場合、普通は時間単位や1日単位と短いので劣化や磨耗などは目立ちませんが、何十人、何百人と貸していけば、当然劣化なども目立ってきます。
その修理代や整備代はレンタカー会社が負担するもので、借りた方が負担するべきものではありません。
■室内の内装、設備のすべてが年数が経つに連れて価値が下がっていく
住居についてもまったく同じことが言え、クロスやじゅうたんなどの年数が経ったことによるくすみ、エアコンや給湯器などの設備の劣化などは、借りている側が修繕や交換の費用を負担する義務は基本的にありません。
経年や通常生活している上で起こる劣化や損耗の分は、毎月の賃料の中に含まれており、それを退去時に借り主が負担するとなると、貸し主は“二重取り”のような形になり、借り主が必要のない損をさせられてしまいます。
もちろん、部屋を借りている期間中に、誤ってクロスやじゅうたんを剥がしてしまったり、傷を付けたりしてしまった場合、管理をきちんとせずに壊してしまった場合などには、借り主が賠償をしなければいけません。
ただし、その場合も新品に交換する費用を負担する義務はなく、経年による減価償却を考慮しての価値に対する費用の負担で構わないことが一般的です。
室内のクロス、じゅうたん、畳、トイレや風呂、キッチンなどの設備、エアコンなど、あらゆるものが年数が経つに連れてその価値は下がっていきます。
古くなってくればいつかは交換をしないといけないものを、貸し主の負担ではなく、借り主の負担で交換をするとなると、結果的に借り主は毎月の家賃と交換費用を“二重払い”してしまうことになります。
レンタカーを借りている間にタイヤがかなりすり減ったら、タイヤの交換費用を借り主に負担させるレンタカー会社は聞いたことがありません。
現在、住居を賃貸で住んでいる人は、この原状回復の意味を頭に入れておきましょう。